契約書にサインをして押印。
とても大切な作業ですが、サインしてもらう側にとっても、サインする側にとっても面倒くさい作業ですよね。
サインをしてもらう側は、すぐにもらいたい場合にはわざわざ相手側のもとへ出向かなくてはなりませんし、郵送するにしても時間がかかります。
相手によってはなかなか返信してもらえず、何度も確認の連絡をいれなくてはならないこともあります。
一方で、サインをする側からしても、返信用封筒が用意されているとはいえ、あて名の「行き」を消して「様」や「御中」に書き換え、糊付けをし、ポストに投函するのは、単純な作業ですが、めんどくさいものです。
ついつい後回しにしてしまいがちですよね。
昨今のコロナ禍でリモートワークやオンライン会議が進む中でも「ハンコを押すために出社」という記事が出るほど、ハンコを押す作業はリモートでは行えず、足かせになっている現状があります。
しかし、実は今これらの作業を、オンライン上で簡単に行えるよう急速に発展を遂げています。
コンテンツ
電子契約サービスとは
電子契約サービスというものが普及し始めています。
電子契約サービスとは、その名の通り、これまで書面で交わしていた契約を電子で、つまりオンライン上で締結するサービスです。
これによって、サインをしてもらう側はわざわざ相手側に出向く必要もなく、郵送にかかる経費も削減できます。
サインをする側にとっても、送られてきた契約内容に問題がなければ、サイン自体は30秒ほどで終わりますし、手間がかかりません。
これによって、必要な契約を素早く、手軽に執り行えるようになり、両者の負担を減らすことができます。
もちろんリモートですべて完結するので、そのためだけにわざわざ出社する必要もありません。
クラウドサインとは
そんな電子契約サービスの中でも、最も使われているのが「クラウドサイン」ではないでしょうか。
公式サイト:クラウドサイン
みずほ証券株式会社や野村證券株式会社などをはじめ、電子契約を利用している会社の約8割がクラウドサインを利用しています。
利用料
クラウドサインは、Standard、Standard plus、Businessの3プランがあり、それぞれ月額利用料1万円、2万円、10万円に、書類送信件数1件につき200円がかかります。
一見、そこそこの月額利用料がかかるようにも感じますが、電子契約サービスでは印紙が必要ありません。
従来の契約書では「収入印紙に割り印を押して」といった工程が必要であったため、印紙税がかかりましたが、その費用をカットできます。なので月に2件~3件以上契約書を交わす場合は、むしろ安くなるのです。
また、月に10万円のBusinessプランでは、セキュリティ等の高度なリスク管理が施されてます。
紙の契約書を管理するコストと見比べてみるとよいのではないでしょうか。
プランの特徴
基本的な電子契約を行うだけであればStandardで十分ですが、取引先によっては紙の契約書でなければ受け付けないという場合があるかもしれません。
また過去に締結した紙の契約書もいっしょにクラウド上で管理したいという方は、StandardPlusがおすすめです。
紙の書類のインポート機能がついているので、過去の契約書や、紙での契約しか受け付けないという相手と交わした契約も、クラウド上に取り込むことですべて一括管理することができます。
また、機密情報を取り扱うなど、高度なリスク管理が必要な方はBusinessプランがおすすめです。
アカウントの登録制限やIPアドレス制限など、高度な管理機能が追加されています。
しかし、Standardプランであっても通信や保存ファイルの暗号化や、データのバックアップなど、セキュリティはしっかりしています。
なので通常であればStandardプランで十分だと思います。
クラウドサインの使い方
それでは具体的にクラウドサインを使ってどのように電子契約を締結するのか説明していきましょう。
契約書(PDF)をアップロードする
クラウドサインにログインしたら、まずは「新しい書類の送信」を選択してください。
「ファイルを選ぶ」をクリック、もしくはこの画面にファイルをドロップして、契約書をアップロードします。
この際、契約書のデータはPDFに限られるので、別の拡張子で契約書を作成している場合は、Wordなどで作り直し、PDFで保存する必要があります。
また後ほど改めて説明しますが、相手の署名、押印、自社の押印はオンラインで行うので、空欄にした状態でPDFを作成してください。
タイトルを入力して送信相手を選択
アップロードが完了するとこのような確認画面になるので、タイトルを入力してください。
このタイトルは相手側にも表示されるものです。なので、わかりやすい名前にしましょう。
その下の契約相手の名称という欄は、自分の管理・確認用で、相手には表示されません。
わたしは契約書を作成する際に、名称を入れているので、この欄は特に記入していません。
タイトルが入力できたら「次へ」を選択しましょう。
クラウドサインでは、契約書はメールで相手に送ることになるので、相手のメールアドレスを入力してください。
一度送信した相手のアドレスは自動で保存されているので、選択するだけで大丈夫です。
また相手の氏名には、メール送信時に自動的に「様」がつくようになっています。
そのため「様」まで入力する必要はありません。
入力項目の設定(一番大切)
さて、ここからが一番大切な作業です。
契約書をPDFで保存する際に、相手の署名欄、押印、自社の押印の部分は空白にして作成するといいましたが、ここで設定をおこないます。
このときに署名欄、押印欄を設定することで、オンライン上での契約ができるようになります。
なので、とても重要な作業です。
署名欄には「フリーテキスト」という枠を、押印欄には「押印」という枠をそれぞれ上からドロップしてきてください。
弊社では契約書にチェックリストを設けていないため使用していませんが、チェックボックスを設置することもできます。
枠を設置すると、それを「自分が入力する」のか、「相手に入力してもらう」のか、という割り当てを行います。
この割り当て自体は、先ほど入力した宛先から自動で選択できるようになっているので、やってみるとすぐに分かるでしょう。
相手の署名欄、押印欄、自社の押印欄にそれぞれ枠を設置すると、このようになります。
そして、自社の押印欄については、自分が入力するように割り振ってあるので、赤くなっており、この場で押印を行います。
会社名を入力して「押印」ボタンをクリックすると、自動で押印がなされます。
そして相手側にもこのように押印してもらうことになります。
押印するとこのように表示されます。
相手に入力してもらうための枠を設置し、自分の押印が完了したら、「次へ」を選択してください。
これですべての作業が完了したので、確認画面が表示されます。
問題なければ「送信する」を選択し、あとは相手から承認されるのを待つだけです。
こちら側は多少作業しなければなりませんが、相手はクラウドサインにアカウントを持っていなくても大丈夫ですし、こちらが設置した署名欄と押印欄に入力するだけで完了するので、本当に手間いらず!
電子契約で(法的に)効力はあるの?
電子契約サービスを利用すると、手間もコストも抑えることができます。
しかし、不安なのが、本当に電子契約で効力はあるのか、という点です。
署名も直筆ではないですし、押印も本来の印鑑ではないので、不安になる気持ちはわかります。
どんなに便利でも、法的に効力がなければ何の意味もありませんよね。
ここで安心していただきたいのが、日本の法律では契約の合意は書面のみに限られておらず、電子契約によるクラウド上での契約はもちろん、Eメールや口頭でも成り立つようになっているという点です。
さらに言うと、実はクラウドサインを運営しているのは弁護士ドットコム株式会社となります。
弁護士ドットコムがやっているから大丈夫!というのはお粗末な言い方になってしまいますが、弁護士ドットコムが運営するサイトで法的根拠のないサービスを取り扱ったとしたら、それが発覚した際のダメージは計り知れません。
そのようなリスクを背負ってまでこのようなサービスを始めることはまずないでしょう。
そういった事実の方が、素人が「色々調べてみた結果、法的に大丈夫でした!」というよりもよほど説得力があると思います。(またクラウドサインにて締結した契約を証拠や疎明資料として提出した実例があります)
まとめ
電子契約サービスは、手間や時間がかからないだけでなく、印紙税もいらないので費用さえも抑えることができます。
中でもクラウドサインは、相手方にアカウントが必要なく、費用もお手頃なので、比較的利用しやすいサービスではないでしょうか。
弊社でもクラウドサインを利用していますが、とても使いやすいです。
電子契約でも法的には問題ないので、この機会にぜひ電子契約を取り入れてみてはいかがでしょう。