「ECサイト」という言葉をご存知でしょうか。
ざっくり言うと、インターネット上で商品を販売するサイトのことです。わかりやすく言えばネットショップだと思ってもらっても構いません。
日本で使われている大手ECサイトと言えば、「amazon」「楽天市場」「yahoo!ショッピング」あたりでしょう。
「メルカリ」や「ZOZOTOWN」などもECサイトです。
ECモールとは
こうした大手ECサイトは、ECモールとも呼ばれ、様々な店舗が、amazonや楽天市場などといったプラットフォームに出店する形で行われています。
例えばイオンモールなどを想像してもらいたいのですが、イオンモールでは、イオンの自社製品も取り扱ってはいますが、色んなブランドのお店が出店していますよね。
イオンモールというプラットフォームは集客力があります。
人がたくさん集まる場所に出店すれば、売り上げも上がるので、様々な店舗が出店しますが、出店するためにはテナント料がかかります。
amazonや楽天市場といったECモールは、そのWeb版だと思ってください。
amazonや楽天市場などのECモールには、集客力があります。毎日世界中からとんでもない人数が閲覧し、商品を購入していきます。そこに出店することで、売り上げは間違いなく上がるでしょう。
その一方で、出店料のような形で、売り上げから何%という手数料が引かれます。
例えば決済手数料が20%であれば、月に2000万円の売り上げがあったとすれば、400万円支払うことになります。
また、売り上げとは関係なく、月々の固定費がかかるケースがほとんどです。
大手ECモールだと、Yahoo!ショッピングは無料ですが、amazonと楽天市場では月額料金が発生します。そのため、ECモールに出店するのではなく、自社でECサイトを運営したいと考える経営者は少なくありません。
そこで自社でECサイトを持つメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
自社でECサイトを持つメリット
まずは自社でECサイトを持つメリットについて考えてみましょう。
手数料をとられない
まず一番大きいのはこれでしょう。
ECモールで商品が売れると、売り上げの10%~20%程度が手数料として取られてしまいます。もともと原価や人件費などのの諸費用がありますから、売り上げが丸々儲けになるわけではありません。
そこに、手数料が入ってくると、さらに利益率が下がります。
イオンモールなどでのテナント料のように固定費でいくら、という形であれば、売り上げを上げればその分利益率も上がりますが、売り上げの何%という形式なので、どれだけ売っても利益率は変わりません。
自社でECサイトを持つことができれば、売り上げはそのまま自分たちの懐へ入ってきます。
自社ECサイトの運営で多少経費が上がったとしても、売り上げが上がっても運営費はそれほど上がらないので、頑張れば頑張るだけ利益率が上がります。
また、ECモールでは広告費やクーポンなどの割引が店舗負担なので、そういった負担がなくなることも自社でECサイトを持つメリットの一つでしょう。
自社の色を出せる
出店するECモールにもよりますが、サイト内で自社の色を出すことが難しく、売り上げが上がったからといって、自社のブランディングには直結しないことがほとんどです。
特にamazonなどは、あえてそのような方向性で運営しており、amazonで商品を買った顧客は、「○○という店舗で買った」というよりは「amazonで買った」という意識の方が強いでしょう。
一方で自社のECサイトであれば、どのようなサイトやページを作っても良いので、自社の色を出し、ブランディングすることができます。
顧客に「○○で買った」と思わせることができるので、ファンの獲得や、再販率の向上につながります。
規約の変更などに振り回されない
ECモールの主導権を握っているのは、出店している各店舗ではなく、運営している側にあります。
例えばECモール内で「うなぎ」というワードで検索した際に、昨日まで1番目に表示されていたはずなのに、ある日突然7ページ目や8ページ目までに表示されるようになった、ということもあり得ます。
もっと極端な例を挙げると、ある日突然規約が変更され、出店そのものができなくなるという危険性すらあるのです。
一方、自社のECサイトであれば、推したい商品をトップに据えることも当然できますし、出店できないなんてこともあり得ません。
自社ECサイトを持つデメリット
一方で、自社ECサイトを持つデメリットも存在します。
初期費用が掛かる
自社でECサイトの開発までできるのであれば話は変わってきますが、ECサイトを持とうと思ったら基本的には外注することになると思います。
一般的なホームページやコーポレートサイト制作の相場は30万円~100万円ほどですが、ECサイトを制作するとなると、最低でも200万円からでしょう。商品数が多ければ500万円くらいが相場になるケースも少なくありません。
もちろん月に数千万円の売り上げがあって、ECモールに手数料で200万円や500万円を支払っているというような場合なら1月で初期費用を回収することもできますが、なかなかそれだけの投資を行える店舗はないでしょう。
ECモールへの出店は初期費用としては数万円程度なことを考えると、自社でECサイトを持つことはハードルが高いです。
集客が難しい
そして、自社でECサイトを作る一番の難しさは、集客力にあります。
イオンモールで月に1千万円を売り上げたお店が、田舎に個人店を立ち上げてもまずお客さんは来ません。
ECサイトも同じで、自社でECサイトを作ったからといって、Googleなどの検索エンジンで自社商品が上位表示されるかどうかはわかりません。
すでに知名度やブランド力がある店舗であれば自社ECサイトに移行しても顧客はついてくると思いますが、そうでない場合は、ECモールで売り上げがあったからといって、自社ECサイトで同じだけ売り上げることはまずあり得ません。
自社ECサイトを持つのであれば、それと同時にSEO対策や自社のブランディングなど、集客の面も考えなくては、初期費用を無駄にしてしまうことになりかねません。
まとめ
ECモールへの出店は、手数料がかかる上に、制約も厳しく、自社ECサイトに移行したいと考えている経営者の方は多いと思います。
実際に大手ブランドがECモールから撤退して自社のECサイトを立ち上げた例はいくつもあります。
ただ、それはすでに知名度があり、ブランディングに成功している会社だからこそできることだとも言えます。
自社でECサイトを持つ際には、平行してWeb集客についても考えてみてください。